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鈴木タケル

#19『男子最終プロテストの順位変動について』

男子ゴルフ界を盛り上げようと大志を抱く、本気の男子ゴルファーを育成するプロジェクトが始動!

日本のLPGAツアーは、次から次へと新しい優勝者が現れ一層の盛り上がりをみせる一方で、男子ゴルフツアーは注目されることが少なく、松山選手に続くスター選手の出現が期待されています。
男子ゴルフ界を盛り上げようと大志を抱く、本気の男子ゴルファーを育成するプロジェクトが始動しています。
その名は、プロスペクト ジャパン ゴルフといいABEMAテレビにて日曜日の18:30~19:00に放映されています(引用1)。
この企画では、男子プロテストに焦点をあて、様々なバックグラウンドを持つゴルファーのテスト合格までの挑戦を追いかけるドキュメンタリーです。
男子プロテストの受験者は、年間約700名です、そのうち合格者は50名程で合格率は8%と狭き門です。
今回は、難関である男子最終プロテストの2019~21年の3年間の順位変動の傾向を分析しました(引用2)。
また、著者ら研究チームは、ゴルフの順位変動についての論文を作成中であり、今回はその一部を先行してご紹介します。

最終プロテストとは

そもそもプロテストといっても誰にでもすぐにプロ試験を受けることができるわけではありません。
アマチュア時代の競技成績や研修会と呼ばれる各地域の予選の成績により、1次及び2次または最終プロテストから受験することも可能となることもあります。
何も実績がなければ通常はプレ予選から受験していき、3回の予選を突破しなければ、最終プロテストの場にすら立つことができません。
最終プロテストの場に立てるのは予選を突破した約120名であり、その中で50位タイまでがプロ合格となります。

図1 男子プロ(PGA:日本プロゴルフ協会)テストの段階

1日に18ホールを4日間

最後まで勝ち上がった選手に最終的に課されるテストは、1日に18ホールを4日間行い、合計72ホールによる競技です。
これは、国内外問わず通常行われるトーナメントと同じホール数です。
通常行われるトーナメントでは、順位によりもらえる賞金に差がでますが、プロテストでは賞金は与えられず、不合格になればまた来年となり、1年間待たなければならず、人生がかかる程のたいへんな重圧で4日間ラウンドすることになります。

1日~4日目の順位の変動

4日間連続ラウンドでは、日ごとに変動する合格ラインを意識しながらテストを受けることになります。
もちろんですが、ギリギリで合格しようとあえてボーダーライン上である50位を最初から目指すことはないのですが、とはいっても上位合格したとしても得られる賞金も特典もないため、リスクをおって攻撃的なプレーをする必要もないため無難に合格したいと考えるのがテストを受ける側の多くの願いと推測されます。
では、合格する人は4日間でどの程度の順位の変動があるのかを調査することで特に難しいとされる初日のプレーの心構えやどの程度の順位を初日に目指すことが最良なのかを過去3年間のデータより考察していきます。

合格者の順位変動は平均25位程、最大に追い上げでも約65位

合格者の順位変動は、不合格者よりも少なく合格者の3年間の平均順位変動は、約25位(24.86)であり、順位変動は少なく2日目から4日目に順位を追い上げることが難しいことがわかります。
最大に追い上げても約65位しか順位を上げることができないということは、最低でも初日は115位以内ということになるが、ここから合格することは、かなり珍しいケースであり初日から上位にいることが得策といえそうです。
合格者平均順位変動は、約25位という結果より、合格ラインの半分である初日に25位以内にいることが望ましいが、その逆の場合、初日に75位だったとしても慌てることはないこともこの結果よりいえます。

表1 2019~2021年の3年間のPGAプロテスト順位変動(位)

当然ながら日を追うごとに最終順位の決定確率が上がる

2019~2021年までの3年間における、1日目の順位と最終順位、2日目終了時の順位と最終順位、3日目終了時の順位と最終順位の相関関係を調査しました(表2)。
2021年のデータを代表的な例としてグラフに示します(図1)。
当然ながら日を追うごとに最終順位との相関が強くなる結果となっています。
1日目終了時の順位と最終順位の相関は、平均で 64%、2日目終了時の順位と最終順位の相関は平均で81%、3日目終了時の順位は、最終順位と平均91%の高い関係性が確認されています。
最終日におこるドラマに焦点があたることもあるが、稀であることがわかります。
逆をいえば、稀な出来事であるからドラマになるとも言えます。

表2 各日終了時の順位と最終順位との相関

図2 2021年の各日順位と最終順位との相関

結論

1)全体の平均順位変動は、約28位で最大の追い上げは約65位である
2)合格者平均順位変動は、不合格者順位変動よりも少ない
3)日を追うごとに最終順位との相関が強くなる

実践への応用

1)初日のプレーは、極端に安全に行う必要はなく25位以内を目指し、上位ならばそれだけ合格率もあがる
2)合格圏内から不合格になることを恐れたり恥じたりする傾向にあるが、データが示すのは初日からの先行逃げ切りを狙うことが合格率を高めると示唆される

引用文献

(1) https://prospect-golf.jp/
(2) PGATOUR Official HP https://www.pgatour.com/stats