#49『カラーからのパッティングでの距離調整』
カラーからのパットはどの程度クラブヘッドスピードを増して打てばよいか?
USPGAのショットリンクシステムにより、2003~2013年の4万回のパッティングデータから算出した統計では、9m距離のパット成功率はわずか7%であり、平均パット数は1.98打です(引用1)。
そのため、9mを超える距離では2パットで無難に終えたいというのが多くのプレーヤーの心情です。
また、10m以上の距離になるとわずかにグリーンを外し、カラーからパットすることもしばしばあります。
今回は、カラーからのパットで距離を合わせるために必要な、どの程度クラブヘッドスピードを増して打てばよいか?この疑問に答えるために実施した著者自身の研究発表をご紹介します(引用2)。
実験方法
実験参加者は、同一パターにて10m距離から直径1m以内の円形のターゲットに向かってパットを打ちました。
条件1では、グリーンのみを10mボールが転がる条件でした。条件2では、2mカラーを転がったのちに8mはグリーンを転がる条件でした(図1)。
13名の実験参加者は、直径1m以内に入る成功パットを打てるまで何球でも打つことができました。
それぞれターゲット内に入った成功パットのクラブヘッドスピードを記録し、比較しました。

結 果
条件1の全てグリーンの場合は、3.20±0.19m/sという結果になり、条件2では、3.52±0.30m/sと、条件1よりも1.12倍のクラブヘッドスピード増加が確認されました(図2)。

実践への応用
この実験では、カラー及びグリーンも乾いたコンディションで行われ、スティンプ距離は3m(10フィート)でした。
今回の結果は、限定された条件のため実践への応用には制約があります。
しかし、一定の目安に活用することは可能であり、2m以下のカラーを含む、10m付近の距離をパットする場合、全てグリーンの時のパット距離に換算すると約11m(10%増し)のパット距離を打つことを想定して打つことで距離調整の目安となります。
また、全てグリーンだと仮定した場合でも、わずか1mショートするだけです。カラー部分の芝生の抵抗を複雑に考え過ぎずに打つことができれば、無難に2パットで終えることができるでしょう。
引用文献
- ブローディー・マーク. (2014). ゴルフデータ革命. プレジデント社, pp. 54–84.
- 鈴木 タケル・葛西 亮堅・櫻井 一輝. (2025年11月15–17日). グリーン外パッティングのクラブヘッドスピード差異. 日本ゴルフ学会第35回大会(瀬戸大会)抄録集, pp. 38–39.