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2022.4.10

レビュー

#5『飛距離と賞金ランクの関係性』

Takeru Suzuki

過去の研究では、飛距離とスコアには関係性があることが報告されています。
「ゴルフデータ革命」の著者ブローディは、膨大なデータの分析からプロの場合、飛距離が20ヤード伸びると1ラウンドあたり0.75打縮まることを示しています(文献1)。
このことからも飛距離はゲームを優位に進めるうえで重要と思われます。
今回は、日本の男女ツアーにおける賞金ランクとドライビングディスタンスランクとの関係性から現在の国内男女ツアーの特徴を調査していきます。

賞金と飛距離の関係性はそれほど高くない

図1に20-21年シーズンLPGA女子ツアーの賞金ランクとドライビングディスタンスランクの相関を表しています(文献2)。
同様に図2にはPGA男子ツアーの相関を示しました(文献3)。
直接的に賞金と飛距離の順位相関を分析してみると決して関係性が高いとはいえない結果になっています(女子ツアーr=0.276 男子ツアーr=0.211)。


↑図1 20-21年度女子ツアーの賞金ランクとドライビングディスタンスの相関


↑図2 20-21年度男子ツアーの賞金ランクとドライビングディスタンスの相関

性差に関係なく飛距離偏重傾向はみられない

男女ツアーに際立った差はみられず、どちらでも様々なタイプの選手が活躍することが可能であり、決して飛距離偏重的な傾向は現れていません。
興味深いことに女子ツアー賞金1位の稲見選手と男子ツアー賞金2位の金谷選手は、ちょうど平均的な飛距離にも関わらず好成績であり、ゲームの上手さが際立っています。
2人の共通点はアマ時代に日本代表に選出され、ナショナルチームでの指導を受けているためコースマネジメント能力が優れていると推測されます。

性差に関係なく様々なタイプの選手に活躍のチャンスがある

安易な区分けではあるが、おおよそ3つのタイプに分類することが考えられます(図3)。
グラフ上部に位置する選手は「飛距離タイプ」と分類され、飛距離優勢タイプであり男子では賞金1位のC・キム選手、女子では勝みなみ選手や原英莉花選手に加え、当サイト運営のスポーツインダストリー契約選手である大里桃子選手が代表的です。
グラフ中央付近の近似曲線付近に位置する選手は飛距離と技術の「バランスタイプ」であり、上記の稲見選手や金谷選手が代表的です。
グラフ下部に位置するのは、「技術タイプ」と分類され飛距離よりも技術優勢であり、古江彩佳選手や稲森祐貴選手が代表的です。
特に稲森選手は、飛距離のランクは100位でありながら賞金は6位という際立った技術力を有しており何か特別な秘訣を感じさせます。
現在の国内男女ツアーでは、様々なタイプの選手が活躍できるチャンスがあり、飛距離で劣ってもスコアで勝てる可能性があるというゴルフ本来の面白さを引き出すコース設定になっていると考えられます。


図3 選手の特徴を表すタイプ区分け

プロは稼いだスコアの28%をティーショットが占める

スコア分析の権威、ブローディ氏は著書の中でプロのプレーでティーショットは稼いだスコアの28%を占め、アプローチ(主にアイアンショット)は40%、ショートゲームは17%、パッティングは15%を占めると分析しています(文献1)。
そのためティーショットは重要ではあるが、それ以外でもスコアをメイクすることは可能だと考えられます。

90プレーヤーの場合20ヤード伸びると1.6打縮まる

アマチュアゴルファーにとって、とはいえども飛距離が欲しいのは変わらない事実です。
ブローディ氏は、高度な分析手法を用いて90プレーヤーの場合、ドライバーの飛距離が20ヤード伸びると1ラウンドにつき1.6打スコアが縮まることを導出しています(文献1)。
飛距離が伸びることへの報酬:Rewardについては、個人の見解にお任せするとして、20ヤードというとクラブヘッドスピードに換算すると約3~4m/sの増加が求められ、これは決して簡単なことではなく、少なくとも現状の練習より量と質、両方の向上が求められます。

 

■引用文献・資料

1.マーク・ブローディ(2014) ゴルフデータ革命, プレジデント社,
2.日本女子プロゴルフ協会  公式HP内 賞金ランクドライビングディスタンスランク
3.日本ゴルフツアー機構 公式HP内 賞金ランクドライビングディスタンスランク