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鈴木タケル

#1『パット成功率の事実』

パッティングに重要なもの

パッティングに関する技術方法は、無数にあるため人それぞれに言うことは違うので何が正しいのか?ゴルファーを混迷させる原因になっています。
また、パッティングに多くを期待することも更に混迷を深める原因の1つとなっている場合もあります。
パットの成功率を理解することは、必要以上にパッティング技術に囚われることを防ぎ、精神的な重圧を軽減する可能性があります。

2.4m=50% 平均1.50ストローク

世界中のトッププロが集まるUSPGAツアーでは、2003年あたりからショットリンクというシステムが採用され、試合に参加した選手の全ショットがどこからどこまで移動したのか計測されています。
この膨大なデータは、マーク・ブローディによって「ゴルフデータ革命」として書籍化されています(文献1)。
このデータによれば、2003年から2012年の約400万回のパット分析から、2.4m(8フィート)のパット成功率は50%で、カップインまでにかかる平均打数は1.50ストロークと報告されています。
平均的なピンフラッグの長さは約2.4mなので、俗にいう1ピン距離のパット成功率は、五分五分ということになります。世界中のトッププロの技術でも2.4mの成功率は50%なのです。

0.9m=96% 平均1.04ストローク

カップインできて当然と思われる0.9m(90cm)の近距離では成功率96%で平均打数は1.04ストロークとなっています。
しかしながら、簡単と思われがちな0.9mの近距離でも、100回打つ機会があれば4回は失敗が起こるデータとなっているため決して絶対入る距離ではないことを意味しています。
逆に考えれば、100/4=25/1となり、25球に1回は失敗してもよいとも考えられ、必要以上の精神的重圧を感じずに打つことができます。
簡単や「あたりまえ」と思われることでも続けることは難しいのです、つまり0.9m距離であっても成功を続けることは「難が有る=ありがたい」のです。
奇しくも多くの神道や仏教の教えでは、「あたりまえ」の反対語は「ありがたい」とされ、感謝の気持ちを忘れないように諭しています。
意外なことにショートパットの不安やあがりから解放されるためには、ゴルフができることへの感謝なのかもしれません。

図1)パットの成功率:引用文献1より改変


■引用文献
(1)マーク・ブローディ(2014) ゴルフデータ革命, プレジデント社, pp54-84