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鈴木タケル

#3『パーオン=GIR』

GIR(グリーンインレギュレーション)とはショットの精度を表す指標

パーオンとは、Par3ホールならば1回でグリーンにのせること、Par4ならば2回でグリーンにのせること、Par5ならば3回でグリーンにのせることでグリーン面の一部にボールが触れていればグリーンオンとなります。
海外では、GIR(グリーンインレギュレーション)と呼ばれ、ショットの精度を表す指標とされています。
GIR%が上がればアプローチの機会は少なくなり、より確実にパーもしくはそれ以下のスコアであがれる可能性が高まります。

USPGAツアーの平均GIR%は?

2021年のUSPGAツアー全試合での平均GIR%は、65.14%です(文献1)。
1位の選手で、72.58%、最下位の選手で55.46%となっています。
著者が独自に調査した結果では、平均スコア90くらいのプレーヤーのGIR%平均は、16.7%です(文献2)。
この同じ90プレーヤーにティショットからホールアウトまで2球ずつ打ってもらい、結果のよいボールをその都度選択するルールを採用した場合のGIR%は37.8%、さらに同様に3球ずつ打って結果の良いボールを選択するルールでもGIR%は48.9%となり、プロのGIR%が如何に優れているか理解できます。
USPGAツアーでは、1980~2022年の現在までGIR%は年度ごとに記録され、意外なことに過去から現在まで平均GIR%は大きく変動しておらず、約63~66%の間を推移しています。
3ホールに2回はパーオンし、1回はスクランブリングするというスタイルはここ40年間ほぼ変わっていないと推測され、それに合わせるようにコース全長や難易度を合わせているのかもしれません。
各レベルに求められるGIR%は、プロ及びアスリートは66%以上、85以下では40%以上、100切りには20%くらいが目安となりそうです。

近距離ほど有利なGIR%

2021年USPGAツアー全試合全選手の距離別での平均GIR%が公式サイトに発表されています(文献1)。
2021年のUSPGAツアー平均GIR%を図1に表しました。
距離が長くなるにつれてGIR%はプロといえども低くなっていきます。
100~125Y、125~150Yでは、25Yごとに5%しか低下していませんが、150~175Y、175~200Yと200Y以上では、25Yごとに約10%ずつGIR%は低下していき、プロといえども150y以上になると確率が下がり難易度が増していることがわかります。
アマチュアは、どの距離であってもプロの半分のGIR%を目指すことで、プロの半分の全体GIR%を達成できることになります。
つまり、プロの平均GIR%は約66%ですから、その半分の33%のGIR%を獲得でき、これは3ホールに1回GIRを達成できることになり、80台のスコアが見込めます。

(図1:2021年USPGAツアー平均GIR% 文献1より作図)

■参考文献

1.USPGA公式HP内STATS https://www.pgatour.com/stats/categories.RAPP_INQ.html
2.Investigating factors that improve golf scores by comparing statistics of amateur golfers in repeat scramble strokes and one-ball conditions
Suzuki et al.,2020. Journal of Human Sport and Exercise16(4)DOI:10.14198/jhse.2021.164.09