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鈴木タケル

#9『アドレスボール位置の影響』

グリップの握り方の違いがその後の動きやインパクトに影響を与えることは『#7』と『#8』で説明しました。
次にアドレスボール位置の違いもアドレス時の姿勢やその後の動きに影響を及ぼすと考えられます。
ボール位置に関しても単純ではありますが意外に研究されていません。
フロリダ大学女子ゴルフ部の選手として4年間プレーした後に、韓国の延世大学の女性研究員となったSung Eun Kim氏の研究グループ発表のアドレスボール位置に関する2つの論文が代表的です(引用1.2)。
今回は、アドレス時のボール位置が目標方向(黄色:L)と目標方向反対(青:R)にボール1つ分移動させて打った時のアドレス時の姿勢の変化について説明します(引用1図1)。

図9-1  上方からみたボール位置の実験設定
図1  上方からみたボール位置の実験設定

ボール位置が変わるとアドレス姿勢が変わる!

この研究には、11名の男性右打ちプロゴルファーが参加しています。
個々の実験参加者が通常ボールを打つ時のボール位置を基準にして、そこからボールを移動させて5番アイアンで実験を行っています。
アドレス姿勢での変化は4項目で現れていました(図2)。
ボールの直径は、約4㎝ですがそれにも関わらずアドレス時の姿勢は変化適応をみせました
各項目の数字だけみるとわずかな変化にしかみえませんが統計的な差があることは意義があり、今回の実験参加者がプロゴルファーだったことでアドレスの再現性が高かったことに起因することが考えられます。
もしこの実験を初心者でおこなったとしてもそもそもアドレス時のばらつきが多い初心者の場合では、ボール1つ分移動して打球したとしてもやはりばらつきが多くなることは変わりなく統計的な差が確認できないと予想されます。
ゴルフをしている人にとっては当然と感じることでも研究でそれを証明することは難しく、ゴルフ研究が発展しない原因にもなっているように感じます。

図9-2  ボールの変化によるアドレス姿勢の変化 引用1より引用改変
図2  ボールの変化によるアドレス姿勢の変化 引用1より引用改変

実践への応用( Practical application)

(1)ボール位置が左(L)側にずれると肩の向きだけでなくクラブフェースの向きも左に向きやすくなりアウト→インの軌道になりスライスやプルフックの原因となる
(2)ボール位置を左側(L)側にすると側屈の角度が増えクラブ入射角度が緩やかになり高いボールを打てる可能性が高くなる、一方でダフリ防止のためプロは左足に体重を多めに置きバランスを保っていたと考えられた
(3)通常ボール位置との変化には対称性があり通常ボール位置の数値はおおよそLとRの真ん中であるためボールを右側(R)側に置くと上記2と逆のことが起こると予想される

※本論文を理解するにあたり延世大学Sung Eun Kim氏には直接メールにて質問したところ迅速に対応して頂き感謝致します

■引用文献

1.Sung Eun Kim,Young-Chul Koh,Joon-Haeng Cho,Sae Yong Lee,Hae-Dong Lee,Sung-Cheol Lee.(2018)Biomechanical Effects of Ball Position on Address Position Variables of Elite Golfers. Journal of Sports Science and Medicine (2018) 17, 589-598
2.Sung Eun Kim,Jangyun Lee,SaeYong Lee, Hae?Dong Lee,Jae Kun Shim,&Sung?Cheol Lee1.(2021) Small changes in ball positionat address cause a chain effectin golf swing. Scientific Reports 11(1)