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鈴木タケル

#50『カラーからのパッティングでの距離調整②』

#49では、10mグリーン上のみを転がったパットと2mはカラーを転がりその後グリーン上を8m転がったパットでのクラブヘッドスピードの差異を検証しました (引用1)。
今回は、追加の実験として私自身が実験に参加して(被験者1人)、同じ10mのパットにおいて、
・グリーンのみ10m
・カラー1m+グリーン9m
・カラー2m+グリーン8m
・カラー3m+グリーン7m
・カラー4m+グリーン6m
・カラー5m+グリーン5m
・カラーのみ10m

と条件を増やして実験を実施しました。

グリーンは、ベントグリーン、スティンプ距離は約3m(10feet)でした。
同一パターにて各条件の10m距離から直径1m以内の円形ターゲットに向かってパットを打ち、ターゲット内に止まった成功パット5回のクラブヘッドスピードを記録しました。
なお、クラブヘッドスピード(CHS)計測には、クラブ取り付け型の計測器を使用し、インパクト直前のCHSを記録しました(図1)。
また、カラー部の芝は高麗芝、刈り高は12mmでした。
グリーンおよびカラーにおいて乾燥している芝状況で実験を行いました(図2)。

図1.グリーンのみ10m実験設定
図2.カラー1m+グリーン9m実験設定

各条件でのCHSの結果をみると当然ながら、カラーを転がる距離が長くなるとその分CHSを増加させてパットしている結果となっています(表1、図3)。

表1.各条件でのクラブヘッドスピードの平均と標準偏差(SD)

図3.クラブヘッドスピードの結果

グリーンのみ10mを転がったパットを基準として、何倍のCHSを必要とするのかがプレーヤーにとっては重要です。
この結果を見るとカラーを1m、2m、3m転がるパットでは、ほぼ同等の倍率(約1.1倍:赤枠表示)であり、極端なCHSの増加を必要としないことが明確になりました(図4)。
また、カラー3mから4mあたりに分岐点があり、急激なCHSの調整が必要となることが明確になりました。

図4.グリーン10mを基準としたCHS倍率の結果

転がるボールが芝生の抵抗を受けることを考えるうえで、スキッドロールという用語を理解する必要があります。
スキッドとは、インパクト直後ボールは逆回転及び横滑り、またはバウンドします、この区間のことをスキッドと言います。
その後、ボールは順回転を始め原則ボールが停止するまで順回転が続きます、これをロールと言
います(図5)。
この実験では、実際にスキッドとロールの距離を測定していませんので、ここからは推測となります。
スキッドの割合は、打ったパット距離の約20%であることが先行研究より示されています(引用2)。
そのため、今回の実験では、10mが採用されたため、約2mがスキッド距離となるため、スキッド区間がカラー上であり、ロール開始がグリーン上であれば、それほど大きく芝の抵抗を受けなかったと推測されます。
一方、カラーを4m転がすパットでは、ロール(順回転)開始がカラー上になってしまうためグリーンより長いカラー芝生の抵抗を大きく受けCHSを増加させる必要があったと考えられます。

図5.スキッドとロールの概念図
  • 残り距離に対して20%を超える距離をカラー上で転がすパットは、距離調整の難易度が高くなる。(例、10mでは2mカラー以上、20mでは4m以上、5mでは1m以上) そのため、20%以上の場合はウェッジ使用やランニングアプローチの活用も考慮する。
  • 残り距離に対して20%以下のカラー上を転がすパットでは、約1.1倍のCHSを推定しパットする。これは、距離に換算すると約10%増しの距離を打つ想定となる。(例10mでは11m打つ想定、20mでは22m打つ想定、5mでは5.5m打つ想定) 仮に、全てグリーン上だと想定してパットした場合でも、10%短いパットになるだけのため、芝生の抵抗を深く考えすぎず、10m付近以上であれば2パットで終わることを考慮する。
  • 今回の実験は限定的な環境の結果であり、コース内環境の状況判断にも目を向ける。
  1. 鈴木 タケル・葛西 亮堅・櫻井 一輝. (2025年11月15–17日). グリーン外パッティングのクラブヘッドスピード差異. 日本ゴルフ学会第35回大会(瀬戸大会)抄録集, pp. 38–39.
  2. Pope, J., James, D., Wood, P., & Henrikson, E. (2014). The effect of skid distance on distance control in golf putting. Procedia Engineering, 72, 642–647.