#52『アプローチショットとバンカーショットのクラブヘッドスピード差②』
前回は、15ヤードという実践頻度の高い距離を採用し、アプローチショットとバンカーショットにおける成功試技のクラブヘッドスピードを比較することで、バンカーショットに必要なスイング強度の目安を明らかにすることを目的とした研究を紹介しました(#51、引用1)。
その結果、15ヤードではアプローチショットのクラブヘッドスピード(CHS)の約2.2倍のCHSがバンカーショットには必要であることが明らかにされました。
今回は、著者自身が実験をおこない、10~30ヤードまでの様々な距離帯においても追加報告します。
実験の概要
使用クラブは同一のサンドウェッジ(ロフト角56°、バウンス角10°)とし、芝生からのアプローチショットとバンカーショットの双方において、クラブフェースをスクエアに構えたノーマルなショットを行いました。
ターゲットは、10ヤードから5ヤード間隔に30ヤードまで設定し(10y、15y、20y、25y、30y)、合計5つの距離から打球し、ボールが前後1m以内(計2mエリア)に静止したショットを成功試技と定義しました。
成功試技が確認されるまで何球でも打つことができ、成功試技時のクラブヘッドスピードを記録しました(図1)。

結果:バンカーショットでは約2~3倍のスイング強度が必要
各条件での結果をみると、どの距離帯であってもバンカーショットは、おおよそ2~3倍程度のCHSを要することが確認されました(表1、図2)。
また、距離が短いほど倍率は大きく(10y=2.57)、距離が長くなるほど倍率は小さくなりました(30y=2.07)。
表1.各条件でのクラブヘッドスピード


実験結果から距離の長いバンカーショットの倍率予測
バンカーショットのCHSからアプローチショットのCHSを除算して算出した倍率に焦点を当てると、距離が長くなるほど倍率は低下する結果であったため、回帰分析により5~50ヤードまでの倍率を算出しました(図3)。
太い線は本実験結果であり、点線は予測結果となります。短い距離の5ヤードでは約3倍になり、長い距離の50ヤードでは約1.5倍という予測結果になった。
さらに、距離が長くなるにつれてクリーンヒットに近づくことを踏まえると、本結果は実践的知見と矛盾しない結果となった。

実践への応用
- 30ヤード以内の通常エクスプロージョンバンカーショットでは、アプローチの約2~3倍程度のCHSを必要とする。
- 短い距離ほど倍率は大きく、長い距離ほど倍率は小さくなる。5y=約3倍、25y=約2倍、50y=約1.5倍が目安となる。
- 本研究の結果は、砂質など限定的な調査結果であり、また、打ち方も(フェースを開くなど)様々なバンカーショットがあるため、今後の研究課題である。
引用文献
- 鈴木タケル.(2025年11月15日).15ヤードのアプローチショットとバンカーショットのクラブヘッドスピード差.日本ゴルフ学会第35回大会発表抄録集,pp. 24–25.日本ゴルフ学会.