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鈴木タケル

#21『女子最終プロテストの順位変動について』

前回までは、男子プロテストの順位変動についての調査を『#19』と『#20』で報告してきました。
今回は、LPGA女子プロテストに焦点をあて順位の変動について調査を行いました。

男子プロテスト同様に女子プロテストにも段階があり、一般的にプロテストと呼ばれるのは最終プロテストのことで、その舞台に立つためには2回の予選を上位で通過することが求められます。
第1次予選は全国5会場で行われ、2次予選は全国3会場に絞られます。
最終的にプロテストには約100名が進出し、上位20位タイまでの選手がプロ合格となります。
毎年約600名が受験し最終的には20位タイまでが合格ということで合格率は約3.3%と競争率が高い状況が過去3年をみると続いています(引用1,図1)。

図1 LPGAプロテストの段階 (LPGA公式ホームページより引用改変)

4日間の順位変動は平均25位程

合格者の順位変動は、平均順位変動よりも少なく合格者3年間の平均順位変動は、約15位と順位変動が少ないという結果でした(表1)。
合格者最大順位変動は、何故か年々減少傾向にあり、2020年は59位も追い上げて合格した選手がいたが、2022年には合格者の最大順位変動は26位となっているため大逆転合格が起きづらい傾向を示しています。
この傾向は、3年間だけの調査なので簡単な理由づけは難しいが、コースの難易度や選手のレベルなども影響を受けると考えられ更なる調査が必要です。
2020年の合格カットスコアは4日間のトータルスコアが-4までが合格、2021年は+4、2022年は+3までが合格ということで、アンダーパーが出やすいコース程、順位変動が大きい可能性は考えられます。
いずれにせよ合格者の平均順位変動は、約15位で順位変動が少ないことから先行逃げ切りが有利なことは間違いなさそうです。

表1 2020~2022年のLPGAプロテスト4日間の順位変動(位)

何故か?2日目のスコアがよい

2020年から2022年まで各日ごとの平均スコアを算出しました(表2)。
不思議なことに2日目のスコアがどの年も一番よくなっています。
このような傾向は、男子プロテストには確認できないことから、選手の精神状態が影響しているとは考えにくく、ピンの位置などのコース設定を意図的に簡単にしている可能性も考えられます。
女子プロテストのコース設定の傾向は、2日目が一番易しく、3~4日目にかけて難易度を増していくように感じ取れます。

表2 2020~2022年までの1日目から4日目までの平均スコアと難易度ランク

結論

1)全体の平均順位変動は、約25位で最大の追い上げには約60~25位と幅がある

2)合格者平均順位変動は約15位で、不合格者順位変動よりも少ない

3)2日目に平均スコアがよくなることが多く、3~4日と難易度があがる傾向

実践への応用

1)男子と比較して合格人数が少ないことから順位変動も少なく、先行逃げ切りが有利

2)先行逃げ切り有利だが、3~4日はコースの難易度が上がる傾向にある為それに備える

引用文献

(1) LPGA公式ホームページ プロ資格制度
  https://www.lpga.or.jp/page/qualify/pt/2023/summary

(2) 一般社団法人日本女子プロゴルフ協会 LPGA公式ホームページ 過去のプロテスト
  https://www.lpga.or.jp/page/qualify/pt/list